佐々木ロベルト泉選手のインタビュー後編です!前編は様々な反響があり、ありがたい限りです!
(前編はこちら:https://haku-br-jp.com/interview/2019/11/post666/)
今年はいよいよ東京オリンピック・パラリンピックの年です。
益々多忙を極める日本代表パラリンピック佐々木選手のお話を聞けることは本当に貴重でありがたい経験でした。
インタビューさせて頂いた時の佐々木ロベルト泉選手
佐々木ロベルト泉選手 41歳 (2019年11月時点)
パペレシアル品川 所属
ブラジル・サンパウロ・ゾーナ・ノルテ(北区)出身
5人制サッカー日本代表選手、夫で、2児の父
1997年2月 18歳の時に来日
さっ、それでは、貴重な佐々木選手のインタビューの続きです。
西:いよいよ、今年は東京パラリンピックですが、準備はいかがですか?
ロベルト選手:残すところ約7ヶ月ですが、今後どのようにチームニッポンが成長するのか、自分自身も期待しています。
選手同士、違いがある上で、違いを尊重しながらチーム力を高めていきたいと思っているし、自分もレベルアップしていきたい。
そのために前よりフィジカル強化や食事制限などもしています!
日本人は小柄だから、海外の選手と戦うためには、フィジカルの強化はマストですね。
4年前、自分の母国でもあるブラジル・リオパラリンピックに出場できなかった悔しさを東京で晴らしたいですね。
西:リオパラリンピックに出場できなかったというのも東京にかける想いが強くなる理由の一つですか?
ロベルト選手:はい、それもありますね。
リオパラリンピックを現地で観て、こういう舞台でプレーしたいというのはもちろん感じました。
リオの街中を車で走っているとき、選手村通ってホテルに向かう自分がいて、すごく悔しかった。
今回日本は開催国枠で出場を決めていて出場するチャンスがあるので、期待に応えたい!!
西:東京パラリンピックの目標は?
ロベルト選手:どのアスリートもそうだと思いますが、メダルです!
ただ参加したいわけではない。
「頑張ったね」とか「すごいね」の褒め言葉や賞賛もいらない。
メダルが欲しい。
ここで今結果を出さないと日本のブラインドサッカーって変わらないと思うんです。
逆に言えば、今メダルをとればブラインドサッカーという競技がより注目されて、もしかしたら次回2024年の仏・パリパラリンピックではもっといい色のメダルを取りに行こう!ってなるかもしれないですし。
2019年7月ブラジルとの練習試合のため、岩手県遠野市に遠征した日本代表。
西:東京パラリンピックがブラインドサッカーを変えるきっかけとなればとおっしゃっていましたが、今現在佐々木選手が思う日本ブラインドサッカーやパラスポーツ全般の問題点とは?
ロベルト選手:正直、日本でのブラインドサッカーは世界に比べ、遅れているところがある。それは否めないと思います。
試合で海外へ行くと、施設の充実や選手の待遇に驚きます。
結果を出すためには設備を整えたり、選手に投資する必要があると思うけど日本はその投資がまだ欠けているように思う。
一つ不満を漏らすと、パラリンピックの強化選手に対しての助成金の面でも、自分が住んでいる茨城県からは全く受けられていなくて。。これは本当に残念なことです。
だから、もしせめて3位(銅メダル)でもいいから東京パラリンピックで結果を出せば、次回のパリパラリンピックに向けて何かが変わるかもしれない。
西:今まで自分が努力して練習してきた成果を発揮するためにパラリンピックに出場するのではなく、日本のブラインドサッカー・パラスポーツのために結果を追い求めているんですね。
ロベルト選手:今まさにここで変えていかないと何ですよね。東京パラリンピックはそのためのきっかけになればいいなと思います。自分のために戦っているというよりかは自分の下の世代が活躍できるように環境を整えていきたい。
西:2016年リオパラリンピックのブラインドサッカーを観戦して、目が見えているかのようなプレーに心底すごいと思ったんですが、試合中の相手との距離感ってどうやってとるんですか?
ロベルト選手:こればっかりは、「慣れ」ですね。
僕自身も気づかないうちに少しずつ身につけたものです。
突然視覚を失って目の前が真っ暗になって、しばらくはやっぱり物によくぶつかったりしていました。でも少しずつそれも減り、なんというか虫とかでいう超音波的な音が聞こえてくる感じです。人と話している時は相手のちょっとした動き(首の傾け方や声のトーン)で相手がどこを見ているのかを正確に捉えていました。
(これに関しては、実際にインタビュー中もそうでした。私が少し首の角度を変えたり、視線を外に向けた時にロベルト選手にはお見通しのようでした。また「今外見てるでしょ」とか言われていました。これには本当に驚きました!)
西:リオパラリンピックではブラインドサッカーはすごい盛り上がりを見せていたように思えたけれど、どう思いましたか?
ロベルト選手:実際にパラリンピックという大舞台は観客は多いし、関心度も高かったと思います。でもブラインドサッカーが観たくて観戦しに来ているというよりかは、何かの競技と競技の間に空いた時間があったからという観戦者も多かったと思う。
その証拠に地域リーグとかになると観客はグンと減りますし。
西:そうなんだ…現地で観た感じ、みんながすごい楽しんで観戦していたから。
私も、衝撃を受けた一人なんですけど、こういっていいかわからないけれど、すごい楽しかったですしもっと観たい!!!!って思ったんです。
だからぜひ聞いてみたいと思ったことを聞いてみます。。。
障害者スポーツに対して面白いって言ってもいいですか?
ロベルト選手:(笑)うちのチームスタッフとして働かない?(笑)
そう思ってもらえるのは、すごい嬉しいし、選手としていいます。「そうなんです、面白いんです!」
なんとなく…目が見えてないし、チンタラ走ってるんじゃないかって思われるんですけど、そんなことはなくて。。
全力で走るし、全力でボールを取りに行く。パス、シュート、ドリブル…スピード感がある競技です。
あたかも見えているかのようなプレーに圧巻するはず。
観客がそれを観て「楽しい」と思うのはもちろん、
プレーしている僕たち選手自身が楽しんでやっています。少なくとも僕はそうです。
今回佐々木選手には本当に貴重な機会をいただきました。
「パラリンピック」「障害者スポーツ」「パラスポーツ」というテーマを扱うと様々な声が聞かれます。
腫れ物に触るような、そんな繊細さを感じます。
パラリンピック選手や障害のある方に対して、言葉をもっと選ぶべきでは?失礼に当たらないかな?とか。
一人の人間として思いやりを持って、人の気持ちを考えて行動・発言しないといけないと思います。
それは障害者、健常者に限らずです。
でも障害があるからって過剰に意識して、ましてや距離を取るのは如何なものか、と思います。
あくまでもおもいやりを持って接する。それは相手が「人」だからです。
佐々木選手がインタビュー中に、
「誰もが誰かを必要として生きている」という言葉にとても感銘受けました。
健常者の人たちは何もかも自分でできると思っているかもしれないけど、それは違う。
毎日食べているお米だって農家の人たちがお米を作っているから、食べることができる。
着るものだって誰かが作っているから洋服が着れる。
僕は目が見えないから、電車に乗るときに誰かの手助けが必要。
みんな、「誰か」を必要として生きている。人とはそういうものじゃないかな。何も僕が特別なことではない。
私が衝撃を受けたようにきっと衝撃を受けるはず!楽しいです、面白いです!まだ間に合います。
今回佐々木選手のお話を読んで、もっと知りたいという方、ぜひ以下のリンクも見てみてください!
佐々木ロベルト泉選手 所属チーム「パペレシアル品川」
https://papelecial.org/
かっこいいホームページです!
NHKアニパラ 「ブラインドサッカーの回」
https://www.nhk.or.jp/anime/anipara/detail01.html
アニパラとは…パラリンピック競技の魅力を、日本が誇る文化「アニメ」で世界に発信するプロジェクト。
武井壮のパラスポーツ真剣勝負「ブラインドサッカー編」
https://www.nhk.or.jp/shutoken/hirumae/paraspo/20171124.html
武井壮さんが本気でブラインドサッカーに挑戦します!
本気でやっているからこそ競技の難しさがわかる動画で面白いです!
ブラインドサッカー協会
http://www.b-soccer.jp/